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支部創立15周年記念 日本農芸化学中四国第46回講演会(支部大会)

【日時】

2016年9月16日(金)

 

【演題】

 

イヌの消化器官由来の乳酸菌と黒酵母βグルカンを用いた餌料の評価

【演者】

神坂愛理奈、二木 翼,穴井直博1、池上裕倫2、村松久司、永田信治

(高知大・農,1アミール動物病院,2(株)ソフィ)

 

【目的】

餌料の乳酸発酵は,その保存性や嗜好性を高めるが,同時に摂取する乳酸菌には,動物の腸内細菌叢を良好に維持して健康管理に寄与するプロバイオティクス効果を持つことが望まれる。また黒酵母 Aureobasidium pullulans が生産するβ-1,3-1,6-グルカンは,多彩なバイオジェネクスとプレバイオティクス効果が期待される。本研究では,動物の腸内環境由来の乳酸菌とβグルカンを用いて調製した餌料が,犬の健康状態と腸内環境に及ぼす影響を評価した。

 

【方法】

幼犬の新鮮便から MRS 培地で嫌気条件下に生育する細菌を単離した。試験菌株のうちLactobacillus reuteri ER115 を用いて,イヌの健康管理を目的とした発酵餌料を調製し,更に餌料に対するβグルカンの添加量とその効果を検討した。2%βグルカンを添加した無発酵餌料,L. reuteri ER115 を添加した発酵餌料,2%βグルカンと L. reuteri ER115 を添加した発酵餌料の 3 種を,成犬 4 検体に 2 週間経口投与 (5 g/日) した新鮮便の pH,アンモニア濃度,水分含量,乳酸菌数と一般細菌数を測定し,餌料が成犬の腸内環境に与える影響を比較した。

 

【結果】

L. reuteri ER115 の発酵餌料を摂取した成犬では,摂取期間中の腸内において乳酸菌が安定に生育した。また,2%濃度のβグルカン添加 L. reuteri ER115 発酵餌料を用いた摂食試験では,水分含量の有意な増加がみられ,効果的な整腸作用を示した。βグルカンの添加は,乳酸菌の生育維持に有効であり,腸内環境における乳酸菌数の維持にも優れていることが示唆された。

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