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日本農芸化学会中四国支部 第38回講演会

【日時】

2014年1月25日(土)

 

【演題】

植物性資源の乳酸発酵を利用した餌料の開発と評価

 

【演者】

坂本 奈穂1,柳 裕子1,穴井 直博2,河原崎 樹子1,神坂 愛理奈1,池上 裕倫3,村松 久司4,永田 信治4
(1高知大・農、2アミール動物病院、3ソフィ、4高知大・生命環境)

 

【目的】

乳酸菌とその発酵物を含む動物性餌料は,嗜好性を損なわずに保存性を向上し,消化性と嗜好性を高め,それを摂取した動物の腸内細菌の良好な維持に有効であることが期待される。一方,食品加工時に生じる植物性廃棄物を,乳酸発酵によって餌料化できれば,新たな価値を与えることができる。本研究は,ブンタンやユズの柑橘系搾汁残渣や栗焼酎粕,商品価値が劣るが乳酸菌の生育にとって有利なトマトやヤーコンの廃棄物に由来する乳酸菌を探索し,分離した乳酸菌を利用した発酵餌料の作製と,それを摂取した成犬の腸内微生物叢を評価した。

 

【方法・結果】

ブンタンとユズの搾汁残渣,トマト,ヤーコンの破砕物を30℃で静置した発酵物から,MRS寒天培地上に嫌気条件下で増殖したコロニーを分離した。その中からグラム陽性桿菌を識別し,糖資化性試験,16rDNAの塩基配列の解析によって同定した。さらに,至適な培養条件を検討し,人工胃酸胆汁耐性試験を行って経口摂取に有効な乳酸菌を選択した。成犬の腸内微生物叢に対する効果は,バナナを乳酸発酵させた餌料の摂取によって確かめた。餌料の摂取前,摂取1週間後、2週間後,摂取停止1週間後の成犬の糞便を採取し,pH、アンモニア濃度,微生物叢を評価した。その結果、生体外では実験的に安定な菌株でも,生体内では不安定な場合も見られ,個体差も含めて摂食による評価が必要であることがわかった。また,乳酸菌による発酵餌料の摂食により,乳酸菌を優勢種とする腸内環境を維持できることから,安定な乳酸菌とその生育に適した植物性資源による餌料開発が期待できる。

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