第14回 日本病態栄養学会年次学術集会
- 2011.01.15
【日時】
2011年1月15日(土)
【演題】
担がん患者に対するソフィβ-グルカン経口摂取による免疫賦活効果の検討
【演者】
1高知大学医学部臨床看護学、 2(株)ソフィ、 3土佐市立土佐市民病院、 4(株)ヘルシースマイル、5(株)高南メディカル、 6高知大学医学部附属病院 栄養管理室
笹岡 千穂 1、 田中 肇 3、 小松 郁子 3、 藤田 竜 4、 宮原 五彦 5、 尾仲 隆 2、 伊與木美保 6、 宮本 美緒 1、 北村亜希子 1、 渡部 嘉哉 1、 溝渕 俊二 1
【目的】
我々は、食品添加物として認可されている、黒酵母由来の水溶性β-1,3-1,6- グルカンを主成分とするソフィβ-グルカン(SβG)の免疫賦活効果に関して研究を行って いる。これまでにマウス、健常人において、SβGを経口摂取することにより、特に細胞性 免疫が誘導されることを見出している。現在、高知大学医学部と土佐市が中心になって『ソフィβ-グルカンの高齢者及び疾病患者に対する有効性』に関する臨床試験を実施中である。今回は「担がん患者に対する免疫賦活効果の検討」の途中経過を報告する。
【方法】
高知大学倫理委員会の承認のもと、担がん患者18名を対象とした。SβG 15mlを1 日3回、3ヶ月間摂取し、摂取前、摂取1、2、3ヶ月後の計4回の採血を行い、NK活性を評価 した。NK活性は密度勾配遠心法で得られた末梢血単核球を機能細胞、K562細胞を標的細胞 として、E/T=50/1、51Cr放出試験で計測した。
【結果】
SβG摂取前採血のNK活性を100%とした場合、1ヶ月後126.4±13.76%(n=18)、2ヶ月後129.7±10.24%(n=18)、3ヶ月後116.2±8.36%(n=18)であった。前値に対するそれぞれのp値は1ヶ月後0.073、2ヶ月後0.010、3ヶ月後0.070であり、2ヶ月後は統計学的 有意差が認められ、1ヶ月後、3ヶ月後でもNK活性の上昇傾向が認められた。
【結論】
途中経過であるため18名と症例数は少ないものの、担がん患者でもマウス、健常 人同様、NK活性の上昇が認められた。このことから担がん患者においても、SβG摂取により細胞性免疫が誘導されることが示唆された。一般的に担がん患者は液性免疫優位な状態 であり、細胞性免疫優位な状態にコントロール出来れば病態の改善がなされるとの考え方 がある。つまりSβG細胞性免疫が誘導できれば、がん治療の一助となり得る可能性がある。