第24回 日本静脈経腸栄養学会
- 2006.01.29
【日時】
2009年1月29日(木)
【演題】
ソフィβ-グルカン経口摂取によるヒトNK活性誘導効果の検討
【演者】
高知大学医学部1) 高知大学医学部附属病院2) 株式会社 ソフィ3) 株式会社 高南メディカル 栄養管理部4)
溝渕俊二1) 伊與木美保2) 矢野弘子3) 西森美恵4)
【目的】
ソフィβ-グルカンは水溶性β-1,3-1,6-グルカンを主成分とし、厚生労働省から既存食品添加物としての認可を受けている。これまでの動物実験の結果、マウスへ経口投与を行うと自然免疫の一つの指標となるNK活性を誘導することを見出した。今回は、ヒトでも同様の免疫力向上が得られるか検討を行った。
【方法】
疾病を有さない健常人を対象とした。ソフィβ-グルカンを、1 日45mlを3回に分けて1ヶ月連続経口摂取し(以下、45ml群:n=11)、摂取前、摂取1ヶ月後及び摂取中止1ヶ月後に末梢血を採取し、分離した単核球を機能細胞、K562細胞を標的細胞とした51Cr 放出試験でNK活性の測定を行った。また濃度依存性をみるために1日5ml(以下、5ml群:n=9)、 30ml(以下、30ml群:n=9)を3回に分けて3ヶ月間連続経口摂取し、摂取前及び摂取後1ヶ月毎に末梢血を採取し、NK活性を測定した。
【結果】
45ml群では、対象者の90.9%(10/11)にNK活性 の上昇が認められた。被験者各々の摂取前NK活性を100%として計算すると、ソフィβ-グルカン 摂取後のNK活性の平均値は122.5±8.48%であり、NK活性はソフィβ-グルカン摂取後有意な上昇を示した(p=0.0213)。またソフィβ-グルカンを中止すると1ヶ月後に62.5%の対象者でNK活性 が投与前のレベルまで下降し、NK活性平均値は111.2±17.67%であった。5ml群、30ml群では、1ヶ月後、2ヶ月後のNK活性値は摂取前と比較して有意差は認められなかったが、3ヶ月後のNK活 性は、5ml群では、123±5.11%、30ml群では、118.6±9.07%であり、各々有意な上昇が認められ た(p=0.0002、p=0.0402)。
【考察及び結論】
ソフィβ-グルカンの経口摂取によるNK活性誘導 能がヒトでもあることが証明され、その効果は摂取期間依存的であると思われた。また1日45mlを摂取すれば、1ヶ月後にはNK活性は有意に上昇し、1日5ml、15mlの低量摂取においても、3ヶ月間の 長期摂取で、NK活性が有意に上昇することが明らかとなった。