第37回 日本免疫学会総会・学術集会
- 2007.11.20
【日時】
2007年11月20日(火)
【演題】
ソフィβ-グルカン経口摂取によるNK活性誘導効果/Effect of natural-killer activity in murine spleen cells and human peripheral blood cells by Sophy beta-glucan
【演者】
矢野弘子1,2,高本美佐1,2,谷脇千穂1,2,長瀧充1,2,渡部嘉哉1,2,古谷正人3,溝渕俊二1 (1高知大学医学部臨床看護学講座, 2 (株)ソフィ研究開発部, 3高知大学総合研究センター動物資源開発分野)
【目的・方法・結果】
ソフィβ-グルカンは Aureobasidium pullulans が産生するβ-1,3-1,6-グルカンを主成分とする物質で、既存食品添加物として認可されている。我々は、今までにソフィβ-グルカンが、抗寄生虫感染効果・抗腫瘍効果・抗アレルギー効果など、宿主免疫系をTh1系優位に誘導することを報告してきた。今回、ソフィβ-グルカンの経口摂取によるNK(natural-killer)活性誘導能をマウスおよびヒトで見出したので報告する。C57BL/6マウスを用い、0.5~5%に溶解したソフィβ-グルカンを自由給水によって投与した。NK活性の評価は定法に従い、脾臓由来単核球を機能細胞(E; effecter)、Yac-1細胞を標的細胞(T; target)とした51Cr放出試験で行った。その結果、ソフィβ-グルカン投与マウスでNK活性の誘導が顕著に認められた。さらに、この効果はソフィβ-グルカンの濃度依存的かつ時間依存的なものであった。
この賦活効果を生体内で検証することを目的として、Sarcoma180を用いた担がん実験を行った。ソフィβ-グルカンの投与は、がん細胞移植2週間前から実験終了まで継続して行った。評価はマウス背部における腫瘍の大きさの経時的測定で実施した。その結果、水投与対照群に比べ、ソフィ β-グルカン投与群には腫瘍の成長遅延効果が認められた。以上の結果をもとに、高知大学医学部において健康人ボランティアによるNK活性の測定を実施した。測定はソフィβ-グルカン15mlを一日3回、一ヶ月間摂取させ、摂取前、摂取一ヶ月目、摂取終了後一ヶ月目の計3回、末梢血を用いて行った。なお、NK活性は単核球を機能細胞、K562細胞を標的細胞として、E/T=50/1、51Cr放出試験で評価した。その結果、91.7%の検体で摂取によるNK活性の上昇が認められた。これは、マウスで得られた結果同様、ソフィβ-グルカン経口摂取による自然免疫賦活効果を支持するものであった。今後の展開としては、抗がん剤の投与や加齢に起因した免疫力低下に対するソフィβ-グルカンの効果を検討していく予定である。