第47回 日本癌治療学会学術集会
- 2009.10.22
【日時】
2009年10月22日(木)
【演題】
ソフィβ-グルカンが及ぼす腹腔マクロファージの細胞障害活性とNO産生能との関係
【演者】
溝渕 俊二 1,谷脇 千穂 2,渡部 嘉哉 2, 笹栗 志朗 3
高知大学医学部臨床看護学講座1, (株)ソフィ研究開発部2, 高知大学外科学講座外科2 3
【はじめに】
黒酵母由来の水溶性β-1,3-1,6グルカンを経口投与するとマウス、ヒトでNK活性が有意に上昇し、腫瘍移植マウスに抗癌剤腹腔内投与とグルカン経口投与の併用で、抗癌剤の抗腫 瘍効果が増強された。また、グルカン経口摂取で腹腔内マクロファージのNO産生能が上昇した。 今回は、腹腔内マクロファージの細胞障害活性とNO産生との関係を検討した。
【方法】
マウスに5% グルカンを自由給水にて投与するグルカン群(G群)と水のコントロール群(C群)の2群で比較した。 グルカン投与2週間後に2ml/匹のチオグリコレート培地を腹腔内に投与し、63時間後に腹水中の マクロファージを採取した。これを機能細胞とし、Yac-1を標的細胞として細胞傷害活性を測定した。その際に、NO阻害剤であるL-N5- (1-iminoethyl) -ornithine (L-NIO)を添加し、細胞傷害活性 とNO産生との関係を検討した。
【結果】
細胞障害活性は、C群3.26%、G群10.35%であり、G群が 有意に高値を示した(p=0.003)。また、L-NIOを添加すると、C群では細胞傷害活性が有意に低下した(p=0.009)が、G群では、差はなかった。
【考察】
グルカンの経口摂取にて腹腔内マクロファー ジの細胞傷害活性を高めたが、L-NIO添加にて、C群でのみ細胞障害活性が抑制された。これは、L-NIOの量の問題か、その他のフリーラジカルが細胞障害活性に関与している可能性が示唆された。