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第55回 日本栄養改善学会学術総会

【日時】

2008年9月5日(金)

 

【演題】

ソフィβ-グルカンによる血糖値改善効果の検討

 

【演者】

矢野 弘子1,4) ,伊與木 美保2) ,西森 美恵3) ,圖師 扶美3) ,溝渕 俊二1)

1) 高知大学 医学部 臨床看護学、2) 高知大学 医学部 栄養管理室、3) 株式会社 高南メディカル栄養管理部、4) 株式会社 ソフィ

 

【目的】

ソフィβ-グルカンは水溶性β-1,3-1,6-グルカンを主成分とし、厚生労働省から既存食品 添加物としての認可を受けている。β-グルカンはその分子特性によって血糖値上昇を抑制する可 能性が高い。事実我々が行った動物実験においてソフィβ-グルカンに同効果があることを確認している。本研究は、ヒトの血糖値改善にソフィβ-グルカンを導入する目的で行った。

 

【方法】

対象 は健常人とし、ソフィβ-グルカンの短期及び長期効果を以下の実験で検証した。短期効果:グルカンが有する独特の香りによる摂取時のストレスを軽減する目的でグルカン含有米飯の開発を行い、通常米飯及びグルカン含有米飯摂取後の血糖値の推移を検討した。血糖値の測定は摂取 前、摂取後30、60、90、120分に行い、その値を通常米飯摂食時と比較した。長期効果:被験者を グルカン摂取量で5、15、30ml/日の3群に分け、3ヶ月間グルカンを摂取させた。血糖測定は摂取 前、摂取開始後2週間毎に行った。

 

【結果】

短期効果の検討ではグルカン含有米飯で有意な血 糖値上昇抑制効果が認められた。摂取前の血糖値を100%とした場合、60分後の血糖値は通常米 飯が141.4±12.59%に対してグルカン含有米飯が116.5±7.67%であり統計的な差が認められた (P=0.045)。長期効果は現在進行中である。途中経過として、摂取前と摂取後10週目の血糖値を比 較すると下降率はグルカン5ml群で2.7±2.17% (P=0.211)、15ml群で11.7±4.24% (P=0.010)、30 ml群で15.4±3.91% (P=0.002) で、グルカンの濃度依存的に低下していた。

 

【考察】

今回の結果より、ソフィβ-グルカンを経口摂取することによって糖尿病の発症予防効果が期待される。また、グルカンを米飯に炊き込んでもグルカンの効果発現に影響がないことが示唆された。

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