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2010年度日本農芸化学会中四国支部大会

【日時】

2010年9月24日(金)

 

【演題】

β-1,3-1,6-グルカンを生産する黒酵母 Aureobasidium pullulans の細胞形態について

 

【演者】

宮脇香織1,2、山本純史 1、松尾知佳 1、村松久司 1、永田信治 1

(1高知大・農、 2ソフィ)

 

【目的】

黒酵母 Aureobasidium pullulans は、免疫賦活作用などの様々な機能性を示す β-1,3-1,6-グルカンを細胞外に生産する。食品添加物としてβグルカンが工業的に培養 生産されているが、黒酵母は菌糸形と酵母形の二形成真菌であり、菌齢によって細胞形態 を変化させる複雑な生活環を持つために、βグルカンを安定に培養生産することが難しく、その詳細を明らかにした例もない。従って、βグルカン生産にかかわる細胞形態を明らか にすることが重要になる。本研究では、効率良いβグルカン産生を目的としてβグルカン高生産性黒酵母の多糖生成能に与える環境条件と細胞形態の関連性について検討した。

 

【方法・結果】

米糠培地もしくは半合成培地で液体培養を行い、栄養細胞である分生子や 休眠性胞子である膨張細胞の割合と染色による多糖生産細胞を観察した。βグルカン量は β-グルカナーゼを用いた定量法で測定した。両培地でβグルカンのみが生産され、増殖 形態や分生子、膨張細胞、厚膜胞子の細胞形態にも変化はなかった。半合成培地で厚膜化 が抑制され培養液の着色は見られない。培養初期のpHが3.5以下になると細胞が密集しβ グルカン量が低下した。βグルカン生産に影響する細胞は、細胞の大きさや細胞内小胞の数から膨張細胞であり、菌糸形も酵母形も共に膨張細胞が関与していることが示唆された。

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